2012年10月9日火曜日

脳に響く音とは♪ その①




















プロの世界では、『音』の響きとは違った響きもあります♪

オーケストラの指揮方法は、組織をコントロールすることで、究極の人間関係、究極の経営と言われています☆



プロの指揮者になるためにテストに挑戦したある人の講演を聴きに行ったことがあります。

その方は、ある企業のコーラス部を指揮していました。

しかし、プロのオーケストラと素人のコーラスでは大きな違いがあります。

プロの指揮者になる人達は、有名音楽大学出身であったり、

ピアノやバイオリンの第一人者であったりすることが一般的だそうです。

彼は理系の技術者でしたので、面接時に受かるわけがないと言われていたのです。




指揮のテストでは実際のオーケストラを使って審査員の前でパーフォーマンスをすることでした。

彼は一番最後で、心配そうに順番を待っていました。

最初の受験者が舞台へと進みます。

その受験者は審査員とオーケストラに自己紹介をして、課題曲の説明と感情表現の解釈を述べてから指揮棒を上げました。

するとおかしなことにオーケストラは楽器を上げないで待っていました。

コンサートマスター(通常はバイオリンのリーダーで、指揮者の一番近くにいる人)が楽器を上げないと

全体の演奏は始まりません。


彼は、コンサートマスターと何度もアイコンタクトをとりましたが、楽器を持ちあげてくれず時間が過ぎていきます。

当然、音が響かないので演奏が始まらないうちに失格となったのです。




その次の受験者が舞台に登場します。

彼も同じように、自己紹介、作品紹介を行い、指揮棒をかざしました。


しかし、コンサートマスターはここでも楽器を上げなかったのです。

素人コーラスの指揮者出身の彼は最終受験者であったので、何が起きているのか分からず待っていました。



そして彼の順番がやってきました♪

今までの受験者がすべて失格で演奏すらできなかった後、どうやって舞台に向かうのか分かりませんでした。



そこで彼はこう思ったのです。

どうせ失格なら、自分がやりたいようにやってやろうと・・・



彼は、課題曲『ウィーンの森』の暗い雰囲気のまま舞台へと進み、挨拶することなく指揮棒を上げたのです♪

すると、コンサートマスターがバイオリンを上げて、オーケストラ全体が楽器を上げたのです☆


彼は、何が起こったのか分かりませんでしたが、気持ち良い反応に演奏を続け、

『音』の感情表現を自分の思い通りにコントロールしたのです♪



この日の合格者は彼ひとりでした。



彼は言います。


『指揮者は表現・表情・生き様で指揮をする』 と・・・

自己紹介や表現意図の説明は、必要なかったのです☆

オーケストラは彼の表情や態度でそれを感じ、彼の指揮棒で『音』を響かせます♪

指揮者は指揮台に乗る前から態度を決めておかなければ、オーケストラに響かないのです☆


信頼させなければ、信頼が帰ってくることはないのです。

『音』が出る前に響く『音』がここにはあります☆

彼の貴重なお話は、プロの指揮者になってからも続きます♪


その②へ続く

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