2012年10月23日火曜日

脳に響く音とは♪ その②

















オーケストラをコントロールすることは、究極の人間関係・究極の経営と言われています☆


彼はプロの指揮者になってからも、オーケストラを統率するためにいろんな工夫をしました。

彼らとの信頼関係を得ることが最も重要な仕事であると判断したからです☆

彼らは楽器演奏のプロなので、もちろんプライドが高くて当然です。

指示や命令では動かず、その仕事の中で見せるというプライドを受け止める必要があったのです♪



オーケストラの演奏を指揮するために、指揮者の言葉で彼らの感情を左右することは難しいのです。

また、ひとりからの質問に対してひとつの答えを返しても、全体を見ることや場をまとめることから

遠ざかっていきます。




これが正しいという考えはおかしい、と気付いたのです☆

また、正しいことでも正しいと言ってはいけないと考えたのです♪

質問に対しては、どう思うかを聴きだすことが大切だということです☆



彼らの考え方に対してどんなことでも受け止め、プロの彼らにまかせることを信頼するのです。

彼らに対しては、気付くチャンスを増やすことが大切だと感じたのです。

余計なひと言で腹を立てさせたりして、気付くことを邪魔することなく・・・

その気付きに本気で彼らは動きます☆



演奏のミスに対しても、指摘をする必要はありません。

なぜなら、彼らはプロなのでそんなことは分かっているのです。

全体への不信感を作ってしまうことにもなるからでしょう☆


アイコンタクトでその人だけにサインを送ることを覚えたのです。


相手を励まし、自尊心を傷つけない・・・

信頼は自分から創り出すものだと彼は言います♪




『いい悪いはモノサシによって変わる、

 モノサシが変わればいい悪いも変わる』



そして、彼がオーケストラに伝える究極の言葉は、



『指揮をよく見てください』




『音』が出る前に響く『音』です♪



2012年10月9日火曜日

脳に響く音とは♪ その①




















プロの世界では、『音』の響きとは違った響きもあります♪

オーケストラの指揮方法は、組織をコントロールすることで、究極の人間関係、究極の経営と言われています☆



プロの指揮者になるためにテストに挑戦したある人の講演を聴きに行ったことがあります。

その方は、ある企業のコーラス部を指揮していました。

しかし、プロのオーケストラと素人のコーラスでは大きな違いがあります。

プロの指揮者になる人達は、有名音楽大学出身であったり、

ピアノやバイオリンの第一人者であったりすることが一般的だそうです。

彼は理系の技術者でしたので、面接時に受かるわけがないと言われていたのです。




指揮のテストでは実際のオーケストラを使って審査員の前でパーフォーマンスをすることでした。

彼は一番最後で、心配そうに順番を待っていました。

最初の受験者が舞台へと進みます。

その受験者は審査員とオーケストラに自己紹介をして、課題曲の説明と感情表現の解釈を述べてから指揮棒を上げました。

するとおかしなことにオーケストラは楽器を上げないで待っていました。

コンサートマスター(通常はバイオリンのリーダーで、指揮者の一番近くにいる人)が楽器を上げないと

全体の演奏は始まりません。


彼は、コンサートマスターと何度もアイコンタクトをとりましたが、楽器を持ちあげてくれず時間が過ぎていきます。

当然、音が響かないので演奏が始まらないうちに失格となったのです。




その次の受験者が舞台に登場します。

彼も同じように、自己紹介、作品紹介を行い、指揮棒をかざしました。


しかし、コンサートマスターはここでも楽器を上げなかったのです。

素人コーラスの指揮者出身の彼は最終受験者であったので、何が起きているのか分からず待っていました。



そして彼の順番がやってきました♪

今までの受験者がすべて失格で演奏すらできなかった後、どうやって舞台に向かうのか分かりませんでした。



そこで彼はこう思ったのです。

どうせ失格なら、自分がやりたいようにやってやろうと・・・



彼は、課題曲『ウィーンの森』の暗い雰囲気のまま舞台へと進み、挨拶することなく指揮棒を上げたのです♪

すると、コンサートマスターがバイオリンを上げて、オーケストラ全体が楽器を上げたのです☆


彼は、何が起こったのか分かりませんでしたが、気持ち良い反応に演奏を続け、

『音』の感情表現を自分の思い通りにコントロールしたのです♪



この日の合格者は彼ひとりでした。



彼は言います。


『指揮者は表現・表情・生き様で指揮をする』 と・・・

自己紹介や表現意図の説明は、必要なかったのです☆

オーケストラは彼の表情や態度でそれを感じ、彼の指揮棒で『音』を響かせます♪

指揮者は指揮台に乗る前から態度を決めておかなければ、オーケストラに響かないのです☆


信頼させなければ、信頼が帰ってくることはないのです。

『音』が出る前に響く『音』がここにはあります☆

彼の貴重なお話は、プロの指揮者になってからも続きます♪


その②へ続く